これらの理由や、他にも理由としてはあるかもしれませんが、そういった事情によって歯髄を取ってしまうと、後から歯にトラブルが起こることがあります。やむを得ない場合は別として、歯髄は保存した方が歯は長持ちします。
②ハグキ(歯肉)の問題
被せ物が合っていない歯では歯肉が炎症を起こします。歯肉の縁が赤かったり、出血しがちであったり、ブヨブヨしている状態です。これは磨きにくくなるため不潔になったり、生物学的幅径というもの(ややこしいので説明省略)の関係で起こります。
セラミックであっても銀歯であっても、歯と被せ物の境目は、極力段差がないものでなければいけません。そして、仮歯を用いて歯肉との調和を確認してから、最終的な被せ物に移行しなければいけません。
また、専門的にみると、前歯の歯肉の位置には高低差に一定の決まりがあり、さらに左右対称であることが美しく見える条件です。さらにブリッジなど、歯がない部分の審美的修復においては、抜歯後には歯肉が痩せて減ってしまうので、出来上がった歯が長く見えてしまうということもあります。
こういった点にも注意を払って、時には歯肉の手術なども併用しつつ、きれいに合わせることが可能です。
症例①
初診時年齢:32歳
性別:女性
主訴:前歯の歯ぐきから血が出る
治療期間:1.5年
費用:132万円
治療のリスク:術後の腫れ、痛み
副作用:-
治療内容/装置:精密根管治療4本、歯冠長延長術、前歯6本審美セラミック修復
4年前に美容整形外科にて『セットバック矯正』という手術を受けられた方です。前から4番目の小臼歯という歯を全部で4本抜き、できたスペース分だけ骨を切り取って、顎全体を後ろに退げるという術式です。
その際に前歯4本の歯髄を抜き取って、6本をセラミックの被せ物にしましたが、4本中2本が根尖性歯周炎になっていました。また、セラミックも歯肉とあっておらず、歯肉には炎症が見られます。
初診時
まずマイクロスコープ下にて根管治療およびMTAセメントを用いて根管充填を行っています。その際に被せ物を一旦全て外し、仮歯(テンポラリークラウン)に置き換えています。この時に少し仮歯を調整し、ガムライン(歯肉の位置・高さ)をある程度合わせています。
根管治療終了・テンポラリークラウン装着時
仮歯まで作ったあとは、治療計画を基に、ワックスアップ模型にて設計・診断を行い、被せ物の設計をしていきます。患者様は笑った時に歯茎が見えるガミースマイルで、改善の希望があったため、クラウンレングスニングおよび歯根端切除術・逆根管充填の手術を計画しました。
ワックスアップ模型にて設計・診断
手術(クラウンレングスニングおよび歯根端切除術・逆根管充填)
手術後、ファーストプロビジョナルレストレーション、セカンドプロビジョナルレストレーションと仮歯の調整を重ね、最終補綴物を装着しました。
初診時 → セカンドプロビジョナルレストレーション装着時
根管治療、歯肉の手術、仮歯の調整を重ねた末に、最終的な補綴物を装着した状態がこちらです。
最終補綴物装着