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歯科治療の費用、なぜ医院によって違うのか?セラミックの費用やインプラントの費用に関して解説します。

  • Hatch Dental Clinic
  • 6月5日
  • 読了時間: 8分

こんにちは。

Hatch Dental Clinic歯科医師の平沼です。



今日もブログの更新していきたいと思います。

今回は長いです!!

頑張って書きました!




気付けば6月ですね。

暑くなってきたかと思ったら、なんだか最近では雨が増えてきたように感じます。

もう梅雨が目前となってきました。


当院の階下のお花屋さんでもアジサイがたくさん置かれておりまして、

あまりに可愛いかったので、クリニックの受付用に買わせていただきました。


お花があるだけで、なんだか印象が変わりますよね。

ちょっとこれからは、お花に凝ってしまいそうです。


歯科医院というとあまり良いイメージがしませんから、お花を見て少しでも気持ちが癒されていただけると嬉しいです。


受付のレジ横に置いてあります。
受付のレジ横に置いてあります。


今回のテーマは少し繊細な話題ですが、多くの患者さんからよくいただく疑問でもあります。

それは──


「歯科医院ごとに費用が違うのは、どうして?」


というものです。


確かに、同じような治療に見えても、医院によって価格に差があることは少なくありません。

このことについて、あくまで


『私個人の見解』


として、お話ししてみたいと思います。



よく聞かれるところの、『セラミック』と『インプラント』について、それぞれ書いていきます。

ご興味がある方はお付き合いください。





◻️東京SJCD(日本臨床歯科学会)例会に参加してきました。


話が逸れますが、その前に少しだけご報告です。

6/1(日)に、私が昔から所属していた日本臨床歯科学会の第1回例会に参加してきました。


私が初めて東京SJCDのレギュラーコースを受講したのがちょうど10年前の4月です。

そう考えると、なんだか感慨深いものがあります。


会場は満席でした。
会場は満席でした。


◻️今回のテーマのきっかけとなった出来事


まったく大した出来事ではないのですが、

先日ひとつのお電話をいただきまして


「おたくのクリニックではセラミックでブリッジにすると費用はいくらかかるの?」


という内容のものでした。

当院ではセラミックのクラウンに関しては



・ジルコニア単色ブロック 10万円

・ジルコニアマルチレイヤー 12万円

・ジルコニアポーセレン 15万円

・e-Max 12万円



という費用をベースとして扱っています(咬合再構成など全顎治療を除く)。

そのため、ブリッジでは3本分以上となるので


「10万円×本数分〜になります」


とお答えしたんです。

そうしましたら


「高いから他でやる」


というお返事をいただきまして、当然ながらそれで終わりとなったわけです。


そのことは別に構わないのです。

しかしながら、値段の違いがどうして起こるのか?

という点は患者さんにとって非常に伝わりにくい部分かと思いますので、

今一度、この機にお伝えできればと思ったのです。





◻️「高い・安い」は何で決まるのか?〜セラミックの場合〜


まず大前提として


自由診療(自費診療)における費用は、各クリニックが自由に決めてよい


つまり、価格が違うのは「ダメなこと」でも「おかしなこと」でもないのです。

ですが、患者さんからすれば


「同じ“セラミック”って言ってるのに、なんであっちは〇万円、こっちは〇〇万円なの?」


という疑問が湧くのは当然のことと思います。


実はこの『同じセラミック』という言葉の中には、




・材料のグレード

・技工物の精度

・技工料金の違い

・担当技工士の技量

・製作工程

・使用する接着システムおよび工程

・診査診断

・設計

・術後のメンテナンス




などの細かい要素がたくさん詰め込まれています。


保険治療と自費治療の違いにおいても、材質を含め、こういった点が大きく関わってきます。


せっかく高額なセラミックで治療するのに、

かける時間も回数も、保険治療と同じでも大丈夫ですか?

実際問題として、保険診療がほとんどを占めている歯科医院の場合は、

保険診療と同じ工程で施術し、保険治療の補綴物がメインの技工所に製作を依頼する事が多いです。

そのため、




『せっかく高いお金を出してセラミックにしたのに、数年で割れてしまった』


『見た目が本物の歯と違う』


『歯ぐきが腫れたまま治らない』




などのトラブルが発生する事が多いのです。




少し深掘りしていきます。

細かい部分について全て説明するのは難しいので、分かりやすい部分をいくつかピックアップして解説します。





◻️例えば前歯の場合


1番見た目に関わる部位ですので、

最も良いものを選ばれる患者さんが多いです。


その時にまず仮歯を作りますよね。

仮歯には二種類あります。


・テンポラリークラウン

・プロビジョナルレストレーション


「その場しのぎの仮歯」がテンポラリークラウン、「最終的なクラウンを想定した仮歯」がプロビジョナルレストレーションです。


プロビジョナルレストレーションで半年以上煮詰める事もあります。


その間に、見た目を調整したり、

噛み合わせをみたり、

歯ぐきとの調和を確認したり、、


と、やる事が多いのです。

したがって、最終的な精密な型取りの前に調整が何回か挟まりますので、

仕上がるまでに時間がかかるということです。


回数が増えれば、費用もかかってしまいます。


回数や費用を少なくしたい、という需要もありますので、そういった場合には、


即日で被せ物ができる!


という歯科医院も増えてきておりますから、お探しになってもいいかもしれません。




そしてこの仮歯を最終補綴(被せ物)にいかに上手に仕上げるか、

これは歯科技工士の手に委ねられるのです。




◻️技工士(デンタルテクニシャン)の違い


最終的な被せ物の製作は、歯科技工士の方に依頼します。

当然ですが、人間の手で作られますので、

技術の差がかなり明確に出ます。


普段からセラミックを専門で製作している技工士(セラミストと呼ばれます)でないと、

いいものは出来ません。


そして当然のことながら、製作費用も高いです。

2倍〜3倍、あるいはもっと違う事もあります。

これも、最終的な被せ物の費用の違いに大きく関わります。






◻️例えるならカレー?ラーメン?


上手い例えとは言えないかもしれませんが、、

同じ「カレーライス」でも


・レトルトカレー

・高級スパイスを数十種類使ってじっくり煮込んだカレー


同じカレーでもまったく別物ですよね。


歯科の自費診療も、まさにそれと同じようなことが起こっているわけです。


かける時間も倍以上

かかるコストも倍以上


であれば、最終的な費用が違ってくるのはご理解いただきたい部分です、、




◻️インプラントの場合は?


こちらも、費用が歯科医院によって全く異なりますので、よく分からないまま施術を行う患者さんが多いのではないでしょうか。

インプラントの方が被せ物よりもちょっとわかりやすいかもしれません。


・製造メーカー

・サージカルガイドの有無

・上部構造(被せ物)の質


によって費用が異なってきます。


安いメーカーを使用し、

サージカルガイド(CT上で設計したポジションを口腔内にトランスファーするための装置)を使用せず、

上部構造のクラウンを安い技工所に依頼して、

仮歯などで試運転をしなければ、


当然費用を浮かせることができますので、患者さんからいただく費用も安く済ませることができますよね。


そして被せ物に関しては、インプラントの上部構造では近年は主にセラミックを使用します。

そのため、前述したセラミックの費用の違い問題も発生するという事です。


それぞれのコストは大きく違わないとしても、

さまざまな処置が積み重なる事で最終的な見積もり金額に差が出ます。




◻️ここで注意点!!


さて──


「それじゃあ、治療費が高い歯科医院に行けば安心なのか?」


というと、残念ながら必ずしもそうとは言えません。


たしかに、高度な治療技術や専門的な知識・経験に裏打ちされた歯科医院では、それ相応の費用がかかるのが自然な流れです。


しかし現実には、


“なんとなくの相場”


に合わせて価格を設定している医院や、


治療内容とは関係なく利益を多く上乗せしているようなケースも存在します。




日本では、そうした価格設定が混在しており、

実力のある医院とそうでない医院の費用が、

あまり変わらないという状況が起きてしまっているのです。





欧米諸国、たとえばアメリカでは──

専門性が高く、豊富な経験と技術を持つ歯科医院には自然と相応の治療費がかかります。


価格と技術のバランスがある程度成立しており、


「高い=それなりの理由がある」


という構図が成り立っています。




しかしながら、日本にはそうした“医療の価値に見合った価格”という考えが根付きにくく、これから劇的に変わることも、あまり現実的ではないかもしれません。


だからこそ、患者さん側でも「価格」だけで判断するのではなく、


• 治療に対する考え方

• 使用する材料の質

• 丁寧な説明と相談のしやすさ

• 実際の症例や実績


といった“中身”をしっかり見極めることが、とても大切になってくると私は思います。






今回は、少しデリケートな話題を取り上げましたが、日頃から私が感じていることを率直に書いてみました。


少し長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。

また次回のブログでお会いしましょう!

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