top of page

​むし歯治療

- 歯を残すための保存歯科治療最前線 -

むし歯治療を成功に導くための3つのポイント
『ラバーダム』『マイクロスコープ』『丁寧な処置』

『ラバーダム』の使用と『拡大視野下』(マイクロスコープ・ルーペ)における
『丁寧な処置』により、むし歯治療の予後は向上します。
やり直し治療を限りなく少なくするための、Hatch Dental Clinic におけるこだわりをご紹介します。

その① ラバーダム

緊密なラバーダム防湿で細菌や水分の侵入を防ぐ

『ラバーダム』の使用は、根管治療のみならず、虫歯治療においても大きなメリットをもたらします。特に、大きく進行した虫歯では、歯髄(歯の内部にある神経や血管が含まれる部分)に近い箇所に存在することが多く、虫歯除去の過程で歯髄が露出してしまう可能性があります。これを「露髄」と呼びます。露髄した際、最も警戒すべきは感染リスクです。唾液や外部の細菌が歯髄に触れることで、速やかに感染が生じ、歯髄が炎症を起こす確率が著しく高まります。

この状態を進行させると、「歯髄炎」という状況に至ります。歯髄炎が進行し、炎症が不可逆的な段階に達すると「不可逆性歯髄炎」と診断され、感染した歯髄を除去する「抜髄」処置が必要となります。しかし、歯髄をなるべく保存しようとする場合、「歯髄温存療法」と呼ばれる一連の処置を適用します。これには、「間接覆髄法」(歯髄を直接露出させずに保護する方法)、「直接覆髄法」(露出した歯髄に直接保護材を塗布する方法)、および「生活歯髄切断法」(部分的に炎症を起こした歯髄を切除し、残りの健康な部分を保存する方法)が含まれます。

ラバーダムの使用は、治療中の歯を唾液や口腔内の細菌から隔離し、感染リスクを大幅に低減させることで、これら歯髄温存療法の成功率を高めることができます。この方法により、歯髄露出や歯髄炎のリスクを最小限に抑えながら、歯の根本的な保存を目指すことが可能となります。結果として、抜髄や抜歯といったより侵襲性の高い処置を避け、患者様の自然な歯をできるだけ長く保持することにつながります。

露髄(神経)断髄(歯髄温存療法・生活歯髄切断法)で神経の保存

歯髄温存療法において、ラバーダムの使用は不可欠な処置となります。ラバーダムを利用することで、口腔内の細菌や唾液など、感染の原因となる要素を効果的に遮断することが可能です。特に、消毒処理に用いられる薬剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムは、強力な消毒効果を持つ一方で、口腔粘膜に触れると火傷を引き起こす危険性があります。このため、ラバーダムによる防湿は治療中の安全性を確保するために絶対に必要です。

虫歯が小さい場合でも、コンポジットレジンを用いた詰め物や修復作業においては、水分が大敵となります。水分は修復材料の接着力を弱め、また硬化過程を阻害する原因となるため、ラバーダムを使用して治療部位を乾燥させることが極めて重要です。ラバーダムを下での処置により、水分から保護された環境下で、強固な接着と硬化阻害の防止を実現することが可能となります。これにより、修復材料の耐久性が高まり、長期的な治療効果が期待できます。

保険診療においても、状況に応じてラバーダムを使用することがあります。その使用は、治療の質を向上させるだけでなく、患者様の安全と快適性を確保するために重要な役割を果たします。ラバーダムを活用することで、口腔内を最適な状態に保ちながら、効果的かつ安全な治療を提供することが可能になるため、現代の歯科治療においては欠かせないツールの一つと言えるでしょう。

その② マイクロスコープ

Hatch Dental Clinicのマイクロスコープ

Hatch Dental Clinicでは、虫歯治療を行う際、肉眼だけでの処置は行いません。肉眼での治療に比べると時間がかかることはありますが、常に『拡大視野下』での処置を心掛けています。これには、マイクロスコープや高拡大率のルーペなどの器具が用いられ、治療部位を大きくクリアに映し出します。

拡大視野下での治療は、肉眼では見落としがちな微細な虫歯も見つけ出し、治療漏れを極力減少させることが可能です。また、この精密なアプローチにより、虫歯部分のみをピンポイントで除去し、健全な歯質を最大限に保存することができます。健全な歯質の保存は、歯の強度を維持し、将来的な問題を防ぐ上で非常に重要です。これにより、必要最小限の修復材料(例えばコンポジットレジンなど)を用いて、歯を効果的に修復することが可能となります。

さらに、虫歯の大きさに応じて最適な治療法を選択するため、マイクロスコープを活用した処置が大きな役割を果たします。このような精密な治療方法により、患者様の歯を健康な状態に保ちながら、より長期的な解決策を提供することが可能です。当院では、これらの高度な処置について、患者様一人ひとりに合わせて詳しくご説明し、理解と納得の上で治療を進めております。

その③ 丁寧な処置

「丁寧な処置」が患者様にとって当たり前に感じられるかもしれませんが、歯科治療においてこの原則を守ることは非常に重要です。実際には、治療の日々の忙しさの中で丁寧な処置が忘れられがちになることがありますが、これは決して見過ごしてはならないポイントです。虫歯治療に限らず、あらゆる処置において、高い注意と配慮をもって行う必要があります。ここでは、特に虫歯治療における丁寧な処置の重要性についてご紹介します。

ラバーダム・マイクロスコープ下にみたう蝕(虫歯)
健全な歯質は削らないように、スプーンエキスカベーターを使用して虫歯を除去

虫歯を除去する際、一般的に高速切削器具が使用されます。これは、その高い切削効率により迅速に虫歯部分を取り除くことができるためです。しかし、高速切削器具の使用にはデメリットも伴います。例えば、器具による発熱が歯質や歯髄(歯の中心部に存在し、神経や血管が集まる部分)にダメージを与えることがあります。また、切削効率の高さがゆえに、必要以上に健全な歯質を削り取ってしまうリスクもあります。

高速切削器具を使用すると、手の感覚が鈍くなり、削られる虫歯の硬さを正確に判断することが難しくなります。虫歯によって軟化した歯質は、健全な歯質よりも柔らかくなります。この軟化した部分のみを選択的に除去することは、健全な歯質をできるだけ多く残すために非常に有効な手段です。

そのため、治療の際には高速切削器具の使用に頼るのではなく、場面に応じて低速切削器具や、手用器具であるスプーンエキスカベーター(耳かきのような形状をした器具で、虫歯部分を掘り出すのに用いられます)の使用を検討することが重要です。確かに、これらの器具を使用した場合、治療にはより多くの時間を要しますが、『丁寧に確実な処置』を行うことで、患者様の歯をできるだけ長く健康に保つことができます。このアプローチは、特に歯質を保護し、将来的な歯の健康を維持することを目指す際に、大変有効です。

​ダブルコードテクニック:難しいケースでは糸を2重で巻くことでより精度を高められる

セラミック修復物などの型取りにはより精度が求められるため、圧排糸で境目をはっきりさせる必要がある
ダブルコードテクニック(二重圧排)で、手間はかかるがより高い精度

型取り処置の丁寧な実施は、歯科治療の成功へと直結します。保険診療と自費診療では使用される型取り材料が異なるものの、共通して重要なのは「歯と補綴物(詰め物や被せ物)の間に隙間や段差が生じないようにすること」です。補綴物とは、虫歯や破損などで損なわれた歯を修復・補強するために用いる人工物のことを指します。

この目標を達成するためには、マージン(歯と補綴物の境界部分)を適切に処理することが不可欠です。マージン部分が不均一で凸凹やギザギザ、反返(ひっくり返ること)がないよう、滑らかに整えることが求められます。この処置を行うことで、補綴物が正確に歯にフィットし、噛み合わせた際に隙間や段差が生じず、快適で機能的な補綴物の装着が可能になります。

適切な型取りは、補綴物が長期間にわたり患者様の口腔内で機能し続けるための基盤を築きます。このプロセスを通じて、最終的な治療結果の精度を高め、患者様の満足度を向上させることができるのです。

2024-02-20.jpg

型取りを行う際、歯肉と補綴物(詰め物や被せ物を含む)の境界線を明確にするために、「圧排糸」という特殊な糸を使用します。この圧排糸は、歯肉の周り、具体的には歯周ポケット内に巻き付けることで、歯肉をわずかに押し下げ、歯と歯肉の境界部分をはっきりとさせます。これにより、境界が明確な型を取ることが可能となり、補綴物が正確にフィットする基礎が整います。

歯周ポケットとは、歯と歯肉の間に形成される自然な溝のことで、健康な状態では浅いですが、歯周病などにより深くなることがあります。圧排糸を用いることで、この歯周ポケットの内側まで精密に型取りを行うことができ、最終的な補綴物の精度と歯肉との適合性を大幅に向上させることができます。

このような細心の注意を払った型取りは、治療の成功にとって非常に重要な要素です。圧排糸を用いることは、型取りの際の一手間となりますが、この工程を丁寧に行うことで、補綴物の適合性を高め、長期的に患者様の快適さと口腔内の健康を保つことに寄与します。

​進行の程度による治療法の違い

① Co(予防処置)

② C 1(レジン修復)

③ C2~C3(インレー修復)

​C0(穴が空いていないむし歯)

Co(初期虫歯)は、歯の表面に影響を及ぼす最も初期の虫歯の段階を指します。この段階では、虫歯はまだエナメル質(歯の最外層を形成する硬い組織)内に限定されており、歯質の脱灰(ミネラルが溶け出す現象)が始まったばかりで、穴が開いているわけではありません。Coの段階では、虫歯は見た目には白っぽい斑点として現れることが多く、これはエナメル質の脱灰によって反射する光の量が変わるためです。

初期虫歯は、適切な予防措置と処置を行うことで、進行を食い止め、さらには再石灰化(失われたミネラルの再結晶化)によって修復することが可能です。そのため、フッ化物を含む歯磨き粉の使用や、定期的な歯科検診でのフッ化物塗布などが推奨されます。また、食生活の見直し、特に砂糖の摂取量を減らすことや、適切な口腔衛生の習慣を身につけることも、初期虫歯の進行を防ぐ上で重要です。

Co(初期虫歯)の段階で虫歯を発見し、適切に対応することで、歯を健康な状態に保ち、抜歯や根管治療などの複雑な治療が必要になる事態を避けることができます。そのため、定期的な歯科検診の重要性が強調されます。

​C1(コンポジットレジン)

歯と歯の間に小さな虫歯(コンタクトカリエス)
健康な歯質はほとんど削らず、ミニマムな処置
虫歯を除去した部位のみを、コンポジットレジンで埋めて終了

 初期のむし歯からさらに進行して、穴が空いた時点で虫歯の治療を致します。
小さな穴だけ、もしくは少し中で拡がっている程度のむし歯であれば、なるべく健全歯質を保存しつつ処置を行い、最終的には削った所だけを埋める『コンポジットレジン修復』を行います。

古いCRの周りにカリエス
CRおよび虫歯を除去
新しいコンポジットレジンで詰めて終了(保険治療)

C1(カリエス1)は、虫歯の進行度合いを示す指標の一つで、虫歯がエナメル質を超えてわずかに進行した段階を指します。この段階では、虫歯はまだ歯の表面層であるエナメル質内部、またはエナメル質と象牙質(エナメル質の内側にある、少し柔らかい歯の組織)の境界近くに位置しています。C1の虫歯は、歯の表面に小さな穴やくぼみとして現れることがあり、典型的にはエナメル質が透明感を失い、白や茶色の斑点が見られます。

C1の段階の虫歯は、適切な治療によって進行を止め、さらなる損傷を防ぐことが可能です。治療法としては、まず虫歯部分の除去が行われ、次に詰め物や被せ物(レジンなど)を用いて修復します。この段階での治療の目的は、虫歯の除去と、歯の構造および機能の回復にあります。

初期の虫歯に対しては、フッ化物を用いた予防処置や再石灰化促進処置も有効です。これらの処置により、虫歯の進行を遅らせたり、初期段階での修復を促すことが期待できます。また、日頃の口腔衛生の維持、定期的な歯科検診、健康的な食生活の維持など、虫歯を予防するための基本的なケアが重要になります。

C1の段階で虫歯を発見し、適切な治療を行うことで、歯の健康を長期にわたって維持し、より深刻な歯科治療が必要になるのを防ぐことができます。

​詳しくはこちら▼

​C2〜C3(インレー・アンレー修復)

 さらに大きくなった場合には、『インレー修復』『アンレー修復』を行います。これは虫歯が隣の歯との接触部分の構造を大きく破壊している場合や、咬頭と言われる歯の山の部分を喪失してしまった場合に用います。歯の構造を大きく回復させる場合では、コンポジットレジンでは賦形性(カタチの作りやすさ)が難しいこと、強度が足りないことから、インレー・アンレー修復を選択します。

ラバーダム防湿下にて、セラミックの修復前前処置を行う
レジン系接着剤にて接着。ラバーダム防湿下のため接着力は研究室と同等の成績
大臼歯におけるセラミックインレー修復。ラバーダムは当然100%使用
レジン系接着剤で接着。適合精度も完璧

インレー修復とアンレー修復は、虫歯や歯の破損があった際に用いられる歯科治療方法です。これらの修復方法は、歯を健康な状態に戻し、同時に噛み合わせや審美性を改善する目的で行われます。

 

インレー修復について

インレー修復は、主に歯の咬合面(噛む面)や側面に生じた虫歯や損傷を修復するために用いられます。この方法では、患部を精密に取り除いた後、その部分の型を取り、金属やセラミック、コンポジットレジンなどの材料で作られた詰め物(インレー)を製作し、歯に接着します。インレー修復は、大きな虫歯があるが、歯の大部分が健康である場合に適しており、歯の自然な形状と機能を保ちながら修復することが可能です。

アンレー修復について

アンレー修復もインレー修復と同様に、虫歯や損傷を修復する方法の一つです。しかし、アンレーは歯の咬合面だけでなく、一部の咬合面を覆う形で歯の尖り(カスプ)もカバーします。これにより、歯により大きな強度と保護を提供し、特に咬合力が大きい後方歯での使用に適しています。アンレー修復は、歯の形状をより広範囲に再現し、大きな虫歯や破損に対しても自然な見た目と機能の回復を目指す場合に有効です。

材料について

インレーとアンレーの製作には、金属(金や銀合金)、セラミック、コンポジットレジンなど様々な材料が使用されます。選択される材料は、患者様の口腔内の状態、審美的要求、および費用の考慮に基づいて決定されます。セラミックやコンポジットレジンは、色や質感が天然の歯に近いため、前面歯や審美的に重要な部位で好まれます。

インレーとアンレー修復は、適切に施されると長期にわたり優れた機能と審美性を提供することができ、健康な歯をできるだけ多く保存するという点で、伝統的な冠(クラウン)に代わる優れた選択肢となり得ます。

​セラミック修復物の接着にはラバーダムをほぼ100%使用

​詳しくはこちら▼

​詰め物・被せ物の種類

治療法① コンポジットレジン修復

治療法② セラミックインレー​/アンレー修復

治療法​③ オクルーザルベニア修復

治療法​④ クラウン修復

治療法① コンポジットレジン修復

マイクロスコープを用いて処置を行うことで、このようにむし歯が中で大きく拡がっている場合に、極力入口の穴を小さく開けて処置を進めることができます。

肉眼での処置であれば、入口を大きく開けなければ虫歯の取り残しが生じてしまうため、最終的に大きな詰め物が必要になってしまいます。
 
しかし入口を小さく、歯を極力残して処置を進めることで、ミニマムな処置で完結することができます。
このケースでは、神経に近いところまで虫歯が及んでいたため、スプーンエキスカベーターを用いて少しずつ虫歯を掻き出し、神経に近接した部位にはお薬(水酸化カルシウム)を張薬、コンポジットレジンにて修復を行いました。

健全な歯質を削らないよう、スプーンエキスカベーターを使用してう蝕除去
虫歯(う蝕)の取り終わり。歯髄に近接しているため油断しない
コンポジットレジンにて充填修復

コンポジットレジン修復とダイレクトボンディングは、虫歯治療や歯の審美的修復に用いられる一般的な方法です。これらは、歯科医療において広く採用されている技術であり、患者さんの口腔内の健康と美しさの向上に貢献しています。

コンポジットレジン修復
コンポジットレジン修復は、虫歯除去後や歯の欠損部分の修復に使用される方法です。コンポジットレジンとは、色や質感が自然な歯に近い合成樹脂ベースの材料で、光硬化型と化学硬化型があります。この材料は、歯に直接適用し、形成後に特殊なライト(光硬化ライト)で硬化させることで歯と強固に結合します。コンポジットレジンは、虫歯治療のほか、歯の欠けや割れ、歯の形状や大きさの微調整にも使用されます。審美性が高く、治療箇所が小さい場合に特に適しています。

ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングは、コンポジットレジンを用いた直接法による審美的修復技術の一つです。この方法では、色や形が不自然な歯、または前歯の隙間(ディアステマ)の閉鎖など、歯の見た目を改善するためにコンポジットレジンを直接歯に適用し、成形します。ダイレクトボンディングは、比較的短時間で施術が可能であり、削る範囲を最小限に抑えられるため、歯を保存しながら審美的な改善が期待できます。

これらの方法は、素早く、効果的に歯の機能と美しさを回復させるための優れた選択肢として、多くの歯科医院で採用されています。特にダイレクトボンディングは、患者さんの要望に応じた微細な色調の調整が可能であり、自然な仕上がりを実現できる点が大きな利点です。それぞれの状態やニーズに合わせて適切な治療法を選択することで、健康で美しい口腔環境を維持することができます。(ダイレクトボンディングは実施している歯科医院が限られます)

スクリーンショット 2024-02-18 20.23.22.png

治療法② セラミックインレー修復

セラミックインレーは、虫歯治療や歯の欠損部分の修復に使用される、美しく耐久性のある補綴物です。セラミックとは、硬質で色調が自然な歯に近い材料であり、この特性を活かして製作されたインレーは、見た目が非常に自然で、長期間にわたり優れた審美性を保つことができます。

セラミックインレーの特徴

・審美性 : セラミック材料は、自然な歯の色と非常によく似た透明感と色調を持っているため、修復した部分が目立ちにくいです。
・耐久性 : セラミックは非常に硬質な材料であり、適切に製作・装着されたセラミックインレーは、長期間にわたる使用に耐える耐久性を持ちます。
・生体適合性 : セラミックは口腔内での生体適合性が高く、アレルギー反応などのリスクが非常に低いです。
・保護効果 : 歯の欠損部分をカバーし、残っている歯質を保護することで、さらなる破損や虫歯の進行を防ぎます。

セラミックインレーの治療プロセス

1. 初診 : 患者様の口腔内を検査し、セラミックインレーが適切な治療方法であるかを評価します。
2. 歯の準備 : 欠損部分や虫歯部分を除去し、インレーを受け入れるためのスペースを確保します。
3. 型取り : 準備した歯の型を取り、その型に基づいてセラミックインレーを製作します。
4. インレーの製作 : 歯科技工士が、型に合わせてセラミックインレーを精密に製作します。
5. 装着 : インレーが完成したら、患者様の口腔内に適合するように確認し、専用の接着剤で装着します。

セラミックインレーは、機能的な修復と同時に、患者様の美しい笑顔を取り戻すための優れた選択肢です。自然な見た目と高い耐久性を兼ね備えており、多くの患者様にとって満足度の高い治療結果を提供します。

インレーを用いた歯科治療では、適用する材質に応じて「窩洞」(かどう:詰め物や被せ物が入るための歯を削った部分)の設計が重要です。歯の健康を守りつつ、補綴物の性質に合った最適な形状を作る必要があります。

セラミックインレーの場合、セラミックの物質特性上、衝撃に弱く破折しやすいため、以下の点に注意して窩洞を整えます。

  • 『角のないスムーズな形態』:破折を防ぐため、窩洞の角を丸く滑らかに整形します。
  • 『薄い部位ができないような形態』:薄いセラミックは破折しやすいため、均一な厚みを保持します。
  • 『歯と詰め物の境目はバットジョイント』:歯と詰め物の接合部分を直角に設計し、強固な接着を実現します。
  • 『咬合面の厚みを1.0mm以上確保』:十分な厚みを持たせることで、咬合力に耐えうる強度を確保します。

マイクロスコープを使用して窩洞を精密に整えることで、詰め物の適合性と精度を高めます。また、最終的な窩洞の微調整には、高速切削器具ではなく、超音波振動を利用した切削器具を使用します。この低速での細かい調整により、マージン(歯と詰め物の境界部分)の精密な加工が可能となり、詰め物の破折や脱落のリスクを最小限に抑えます。

自費診療の際には、シリコン印象材を使用して型取りを行うことで、非常に高い精度の型を作成できます。型取りの際には、「圧排糸」と呼ばれる特殊な糸を歯肉の溝や歯周ポケットに押し込むことで、歯と歯肉の境界を明確にし、より正確な型取りを実現します。

セラミックインレーは、金属材料と異なり、接着力に依存して歯を少なく削ることが可能です。しかし、接着技術には専門的な知識と技術が求められ、接着操作の誤りは接着力の低下を招くため、ラバーダムを用いるなどして慎重に処理することが重要です。

これらの慎重な処理は、詰め物の長期的な成功に不可欠であり、セラミックインレーの破折や脱離を防ぎ、健康な歯を長く保つために極めて重要なステップです。

治療法③ オクルーザルベニア修復

オクルーザルベニアは、近年の接着歯科学の進歩により登場した新しいコンセプトの補綴物(修復物)です。特に、歯の構造が大きく損失した場合や、根管治療を受けた歯に対して、咬合(歯が接触する部分)の保護と修復を目的として使用されます。

オクルーザルベニアの特徴
オクルーザルベニアの主な特徴は、歯の残存する健康な部分を最大限に保存しつつ、咬合面(噛み合わせる面)や歯の負荷がかかる部分のみを特別に保護することにあります。これは、歯を全体的に削ってクラウン(全冠)を装着する従来の方法と異なり、必要な部分のみを修復することに重点を置いています。

Hatch Dental Clinicのオクルーザルベニア修復

接着技術の進化との関係
従来の補綴物の設計では、「維持形態」と呼ばれる特定の構造を作り出し、補綴物が歯にしっかりと固定されるようにしていました。これは、補綴物が外れるのを防ぐために、健康な歯質を削り、補綴物がはまり込む形状を作る必要がありました。しかし、オクルーザルベニアの場合、近年の接着技術の発展により、補綴物を直接歯に「乗せるだけ」の方法でも、脱離するリスクを大幅に低減できるようになりました。これにより、歯質を極力温存しながら効果的な修復が可能になります。

オクルーザルベニアの利点
・歯質の保存: 健康な歯質をできるだけ削らずに済むため、歯の強度を保持しやすくなります。
・審美性: 接着技術の進歩により、見た目が自然で美しい修復が可能です。
・機能の回復: 歯の咬合面の修復により、噛む機能の改善が期待できます。
・低侵襲: 歯への負担が少なく、治療後の回復が早いです。
オクルーザルベニアは、歯の健康を守りながら、機能と審美性を向上させる現代的な修復方法です。患者様のニーズに合わせた最適な治療計画といえます。Hatch Dental Clinicでは積極的にオクルーザルベニアのような低侵襲な治療を取り入れています。

治療法④ クラウン修復

クラウン修復は、虫歯や破損が大きく、歯の大部分が失われてしまった場合に行われる歯科治療法です。この方法では、損傷した歯を保護し、その機能と形態を回復させるために、人工の「冠(クラウン)」を被せます。

クラウン修復のプロセス

1. 評価と準備 : 最初に、損傷した歯の状態を詳しく評価し、クラウン修復が適切な治療法であるかを判断します。適切と判断された場合、歯をクラウンを受け入れる形に削ります。これには、歯の形状を変更し、クラウンが適切にフィットするためのスペースを作る作業が含まれます。

2. 型取り : 準備された歯の型を取り、その型に基づいてクラウンを製作します。型取りは、歯科医院内で行われることもあれば、外部の歯科技工所に送られることもあります。

3. クラウンの製作 : 歯科技工士が、型取りに基づいてクラウンを精密に製作します。クラウンの材質には、金属、セラミック、ジルコニア、金属とセラミックの組み合わせなど、様々な選択肢があります。

4. クラウンの装着 : 製作されたクラウンが患者さんの口内に適合するかを確認した後、特殊な接着剤を用いて固定します。適切に装着されたクラウンは、歯の機能と外見を回復し、長期的な保護を提供します。

クラウン修復の利点
・保護 : 大きく損傷した歯を保護し、さらなる損傷や虫歯から守ります。
・機能の回復 : 噛む力を分散させ、噛み合わせの機能を回復します。
・審美性 : 自然な歯に近い見た目を実現し、笑顔の美しさを回復します。
・耐久性 : 適切に製作・装着されたクラウンは、多年にわたって持続する耐久性を持ちます。

クラウン修復の欠点
・歯質の削除 : クラウンを装着するためには、健康な歯質を削る必要があります。これは、特に将来的な再治療が必要になった場合に、歯の寿命を縮める可能性があります。
・費用 : クラウン修復は、他の治療法に比べて高額になることがあります。材料や製作プロセスの複雑さが、費用を押し上げる要因となります。
・接着の失敗 : 不適切な接着方法や材料の選択は、クラウンの脱落や破折を引き起こす可能性があります。

成功させるための秘訣
・支台歯形成 : クラウンを支える歯(支台歯)の形成は、クラウンの安定性と長期的な成功に非常に重要です。支台歯は、クラウンに十分なサポートを提供しながら、なるべく多くの健康な歯質を温存するように形成する必要があります。
・型取りの質 : 精密な型取りは、クラウンのフィット感と機能性を決定します。シリコンや寒天などの異なる印象材は、それぞれ特有の特性を持ち、治療の要件に応じて選択されます。シリコン印象材は精度が高く、柔軟性に優れていますが、寒天印象材はコストが低く、簡単に使用できます。
・圧排糸の使用 : 歯肉との境界を明確にするために、圧排糸を使用して歯肉をわずかに押し下げることで、クラウンと歯肉の間に隙間が生じないようにします。これは、二次虫歯のリスクを低減し、より自然な外観を実現します。

まとめ
クラウン修復は、適切に実施されると、歯の機能と審美性を長期間にわたって保持する優れた治療法です。しかし、その成功は、慎重な支台歯形成、正確な型取り、そして圧排糸を使用した歯肉との正確な境界の確立など、治療過程の各ステップの質に大きく依存します。患者さんと歯科医師がこれらの要素を理解し、適切に対処することで、クラウン修復の潜在的な欠点を最小限に抑え、最適な治療結果を得ることができます。

Hatch Dental Clinicでは、浦安の地で確かな技術力と深い知識を駆使して、むし歯治療に革新的なアプローチを提供しています。当クリニックでは、セラミックインレーやオンレー修復など、先進的な治療法を取り入れることで、患者様の自然な歯を可能な限り長く保持することに注力しています。インレー修復においては、患者様の残存する歯質を最大限に温存しつつ、負荷が強くかかる部分のみを保護する方法を採用。また、オクルーザルベニアを利用することで、噛み合わせの問題や根管治療を受けた歯の修復を行っています。これらの治療法は、患者様の口腔内の健康と機能性を維持し、審美的なニーズにも応えることを目指しています。Hatch Dental Clinicの専門スタッフは、最新の技術と材料を用いて、浦安の皆様や、遠方からの患者様、各患者様に合わせた最適な治療計画を提案し、実施しています。

bottom of page