こんにちは!院長の平沼です。
先日、大学時代の友人の結婚式がありました。
今まで出会った中で、最もアクティビティに富んだ友人で、行動力とコミュニケーション能力の塊のような男です。
僕の尊敬する歯科医師の一人でもあります。
その友人の、お父様に宛てたスピーチの中で、とても心に響く部分がありました(お父様は医師です)。
ご紹介させてください。
『仕事でも、医師としてまっすぐに患者さんに向き合い、夜遅くまで勉強して、正直すごく大変そうだな、と子供ながらに思っていました。ただ、僕が歯科医師として仕事をするようになって、だんだんと気づいたことがあります。患者さんと真正面から向き合うのは、とても大変だという事です。無関心は、簡単です。ただ、相手に関心を寄せ、相手の健康と向き合うには、これらの絶え間ぬ意志や、情熱が必要なのです。お父さんは、そんな大変な道を何十年も歩んできたのです。』
いかがですか。
僕は、泣きながら話す友人と、その場の雰囲気のために涙が出そうになりました。
僕も歯科医師として、可能な限り患者さんと向き合うよう、誠心誠意努力しています。
ちゃんと患者さんと向き合って診療できているのでしょうか。
ですが気持ちの上では、大切な家族や友人を治療するのと同じくらい真剣に、親身に、患者さんの事を考えて治療しています。
少し前の美容クリニックのCMでも流行りましたが、情熱というのは本当に医療において大切なものだと思います。
一人一人の患者さんと向き合うからこそ、より一層の勉強が必要だと感じるわけです。
そうして生まれた熱が、湧き上がる情による熱、つまり情熱なわけです。
なので、勤勉な先生は、そういった情熱を持って仕事をしている先生である可能性が高いと思います。
無関心に治療するのは本当に気楽だと思います。
患者さんが来院して、口の中を見て、虫歯などを見つけたら治療して、全部治したら終わり。
あとはメンテナンスで来てくださいね、といった具合です。
そのように無関心でいられる先生は、毎日同じ事を繰り返しながら、何年、何十年と単純作業のような治療を続けていくのかも知れません。
話は変わりますが、皆さんは結婚式などで頂いたカタログギフト、何を頼んでいますか?
僕はいつも特に欲しいものが見つからず、食べ物を注文したり、タオルを頼んだりしていたのですが、今回は違います。
ちょうど欲しいものがあったんです。
ご存じでしょうか。『ヨーグルトメーカー』です。
これは、ずっと購入を悩んでいた物でした。
ヨーグルトってスーパーで買うと、大容量の物でも安い物だと100円ちょっとで買えますよね。
でも、ヨーグルトメーカーで作るとなると、200円の牛乳と100円のヨーグルトを買って、作る手間までかかるじゃないですか。
じゃあ、必要ないんじゃないか?でも、大量のヨーグルトを作って飽きるまでヨーグルトを食べたい・・・という葛藤がずっとあったんです。
そこでちょうどカタログギフトを見ていた時に、あったんです。
まだ届いてから1週間程度ですが、毎日作っています。
最高ですよ!
味が、とにかく美味しいです。
手間はかかりますが、美味しいヨーグルトを遠慮なく飽きるほど食べられるのは、最高です!
どれくらい続くかわかりませんが、、しばらくはヨーグルト生活を続けたいと思います。
ラーメンどんぶりに入った大量のヨーグルトです。あまり美味しそうに見えないですよね、すみません。
本題までがすごく長くなってしまいました。
今回は、近年流行りのウォーターフロス(ウォーターピック・ジェットウォッシャー)について患者さんからご質問がありましたので、いろいろと調べた結果と、当院の方針についてお話しします。
ウォーターフロスというものをご存知でしょうか?
ウォーターピックとか、ジェットウォッシャーと言われることもあります。
フィリップス パワーフロッサー
以下に概要をまとめます。
○ウォーターフロスとは?
ウォーターフロス(Water flosser)は、歯間や歯ぐきの間の食べかすや細菌を取り除くための器具です。
通常の歯磨きでは届きにくい箇所に水を高圧で噴射することで、歯周ポケット内の汚れを効果的に取り除くことができます。
ウォーターフロスの利点には以下のような点が挙げられます。
歯間の掃除が効果的: 歯ブラシやデンタルフロスでは難しい狭い隙間や歯間をきれいにすることができます。
歯周ポケットのケア: 歯周病のリスクを減らすために歯周ポケット内の食べかすや細菌を除去できます。
歯肉のマッサージ: 歯茎を刺激することで、歯肉の健康を促進することができます。
矯正器具やインプラントのケア: 矯正器具やインプラントなどの歯科矯正装置を装着している場合でも、掃除がしやすくなります。
我々がウォーターフロスを知ったのは今から10年前後ほど前でしょうか。最初に手にしたのはフィリップスのエアーフロスでした。
この当時のものは、ウォーターというより、勢いよく風と少量の水を噴射するという、今出ているものとは少し違った物でした。
結構な風圧だったので、口の中が血まみれになった記憶があります。
当時は、食べかすは取れるけれど、歯垢(プラーク)やバイオフィルムを除去することはできないと言われていました。
そのことについて、根拠があるわけではなかったのですが、そう考えている歯科関係者が多かったと思います。
ほとんどの歯科医師や歯科衛生士は、頭から否定してかかっていたわけです。
あれから何年も経ちまして、調べてみると結構多くの論文がヒットしました。
流行と共に調査が進んでいるようで、最近の物を私自身知らないというのと、流行っているというのを聞きまして、当院の歯科衛生士と共にいくつかの論文を調べてみました。
まずは日本語で書かれた論文からご紹介します。
水流洗浄器と音波歯ブラシ併用が歯周ポケット内細菌へ与える影響
日本歯科保存学雑誌/58 巻 (2015) 4 号
2015年の論文です。
電動歯ブラシを用いて歯磨きをした後、ウォーターフロスを使用した群と使用していないコントロール群に分けて、歯周ポケット内の細菌数を計測した、という内容です。
結論としては、ウォーターフロスを承知した群の方が、有意に細菌数が低下した、となっています。
ただし両群ともサンプル数10以下ととても少なく、方法に関しても、ちょっと信頼性が低いと思います。
日本語で書かれた論文は、見つかったものだとこれくらいでした。
英字論文の方が数が多く、エビデンスレベルも高いものが多かったので、そちらもご紹介します。
・Comparison between water flosser and regular floss in the efficacy of plaque removal in patients after single use
Saudi Dent J. 2021 Jul;33(5):256-259
・Comparison of Water Flosser and Interdental Brush on Plaque Removal: A Single-Use Pilot Study
J Clin Dent. 2016 Mar;27(1):23-26.
上の方が、通常のフロスとウォーターフロスを比較したもの。
下の方が、歯間ブラシとウォーターフロスを比較したものです。
上の方は、フロスと同等の歯垢除去効果が得られた、という結論。
下の方は、ウォーターフロスの方が歯垢除去効果が高かった、という結論になっています。
これらの論文、そして他の論文を含めて読んでいくと、通常のフロスや歯間ブラシと比較して、ウォーターフロスは同等か、むしろ汚れ落ちが良いという事になってきます。(計測方法などによって結果は変わります)
なんでもかんでも頭から決めつけて否定するのではなく、しっかりと論文を調べて、情報をアップデートすることの大切さを改めて感じました。
しかしながら、歯と歯が隣接して、直に接している部分はフロスでないと難しいでしょう。
さらに、ウォーターフロスは各部位に5秒程度当て続けるということで、フロスよりも時間がかかります。
この辺りの事を加味して考えると、現時点では積極的にウォーターフロスをお薦めするという訳ではなく、補助的な目的で利用していただくのがよろしいかと思います。
既にお使いの患者さんに関しては、そのまま使っていただき、より注意が必要な部位に関してフロスや歯間ブラシを追加で使用していただければ、と考えています。
まだ私自身が使用していないので、機会があれば実際に使用して、使用感を確認したいです。
興味本位で、ちょっと使ってみたいです。
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