歯ぐきが下がってきた…?それ、歯肉退縮かもしれません【歯科医が解説】
- Hatch Dental Clinic
- 1 日前
- 読了時間: 6分
Hatch Dental Clinic 歯科医の平沼です。
最近、トミカのミニカー収集がマイブームです。
僕は別に車に興味があるわけでは無いです。
僕が子供の頃、コロコロコミックで連載されていた「爆走兄弟レッツ&ゴー」という漫画が流行っていたのをご存知でしょうか。
タミヤのミニ四駆を題材にした漫画です。
僕はこの漫画が大好きで、ミニ四駆でもよく遊んでいましたし、当時ミニ四駆で遊ばなかった方はいないのではないでしょうか。
そのミニ四駆、最近トミカのミニカーから出始めたんです…!
一つ試しに買ってみたところ、その精巧な造りに夢中になってしまい、集め始めてしまいました。
と言ってもまだ4つだけですけどね。
これから新しいものが追加される度に買い足していく予定です(ビークスパイダー・トライダガーZというモデルが発売予定です)。


ここからは歯科の話題になります。
今回は歯肉退縮(ジンジバルリセッション)と楔状欠損(WSD)について書きたいと思います。
このテーマですが、僕は割といつも気になっていて、今までに結構たくさんの論文を読み込んできました。
その内容を噛み砕きに噛み砕いて、今回はブログの記事にしてみたいと思います。
歯ぐきが下がってきた…?それ、歯肉退縮かもしれません【歯科医が解説】
『実は危険なサインかも!歯肉退縮と楔状欠損の対策』
歯ぐきが下がってきたと感じたら要注意。それは「歯肉退縮」かもしれません。歯科医が原因・予防法・治療まで詳しく解説します!
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『歯肉退縮とは何か?』
歯ぐきが下がって見える…それ、実は歯周の病変かもしれません。
歯肉退縮とは、歯ぐき(歯肉)が歯の根元方向に下がってしまう状態を指します。通常、健康な歯ぐきは歯の根元をしっかりと覆って保護していますが、何らかの理由でこの組織が下がると、歯の根が露出してしまいます。
その結果、「歯が長く見える」、「冷たいものがしみる」、「歯の根元が黒ずんで見える」などの症状が現れます。これは見た目の問題だけでなく、放置すると歯の寿命にも関わる重大な問題です。
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『どうして歯肉が下がるのか?主な原因とは』
歯肉退縮にはいくつかの原因がありますが、大きく分けて以下の4つが関係しています。
機械的な原因:強すぎる歯磨きと咬合性外傷
多くの人が無意識に「強く磨くほどきれいになる」と思いがちですが、これは大きな誤解。強いブラッシング圧は歯ぐきを傷つけ、長期的に退縮を引き起こす可能性があります。
また、歯ぎしりや食いしばりなどによって歯にかかる過剰な力(咬合性外傷)も、歯肉にダメージを与える一因です。
炎症による原因:歯周病と慢性炎症
プラークや歯石の蓄積によって起こる歯周病も、歯肉退縮の大きな要因。炎症が続くことで歯周組織が破壊され、結果的に歯ぐきが後退していきます。
解剖学的な影響:歯並びや歯肉の厚さ
生まれつき歯ぐきが薄い人(thin biotype)は、少しの刺激でも歯肉が後退しやすい傾向にあります。また、歯並びが悪く、前に飛び出ている歯なども局所的な退縮の原因となります。
生活習慣によるもの:喫煙・加齢など
喫煙は歯ぐきへの血流を悪化させ、修復力を下げるため退縮の進行を助長します。加齢により自然と退縮が進行することもあります。
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『歯肉退縮の症状とリスク』
歯肉退縮は一見すると見た目の問題に思えますが、実はそれだけではありません。
歯が長く見える、美観の問題
審美的な側面での悩みは多く、特に前歯部の退縮は他人からも目立ちやすくなります。
知覚過敏の発生と生活の質低下
歯の根の部分はエナメル質がなく刺激に弱いため、冷たいものがしみたり、ブラッシング時に痛みを感じたりする「知覚過敏」が起こりやすくなります。
プラークの蓄積と歯周病リスクの増加
歯根が露出することで磨き残しが起こりやすくなり、さらなる炎症や歯周病の悪化につながります。
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『歯肉退縮が進行するメカニズム』
進行には「機械的刺激+炎症」という2つの要素が複雑に絡んでいます。強すぎるブラッシングや食いしばりにより微細な損傷が発生し、それが炎症や歯周病によって悪化するという悪循環が続くのです。
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『「歯が削れてる?」実は楔状欠損かもしれない』
歯肉退縮とセットでよく見られるのが「楔状欠損(Wedge-Shaped Defect)」という現象です。
楔状欠損の原因:力と酸とストレス
• 力のストレス: 食いしばりや強い歯磨きによって根元にストレスが集中し、V字型にえぐれるような欠損が生まれます。
• 化学的要因: 炭酸飲料や酸性の食品、フッ素不足によるエナメル質の弱化も補助的に影響します。
• 心理的要因: 高ストレスにより無意識の食いしばりが増え、欠損が進行します。
歯肉退縮との関係性:ダブルダメージの可能性
歯肉が下がり、かつ歯根が削れている場合、審美的にも機能的にも深刻な影響が出ます。これらは併発しやすいため、早めの対処が不可欠です。
『歯科医が教える!予防と対策の具体策』
歯肉退縮や楔状欠損は、毎日のちょっとした工夫で進行を予防できます。
正しいブラッシングの基本
• 歯ブラシはやわらかめを選びましょう。
• 持ち方は「ペンを持つように」軽く。
• 力を入れすぎず、細かくやさしく磨きます。
• 横磨きは避け、45度の角度で歯と歯ぐきの境目を丁寧に。
ナイトガードの活用法
夜間の歯ぎしり・食いしばりから歯と歯ぐきを守るために、歯科医院で専用のマウスピース(ナイトガード)を作成することが推奨されます。
禁煙・ストレス管理の重要性
• 禁煙によって歯ぐきの血流が改善し、修復力が高まります。
• 睡眠・運動・趣味でストレスを上手に管理することが、無意識の食いしばり対策にも繋がります。
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『進行してしまったら?治療法と選択肢』
すでに歯肉退縮や楔状欠損が進んでしまっている場合でも、適切な治療で改善や進行停止が可能です。
歯周外科手術(遊離歯肉移植術など)
後退した歯ぐきを回復させるために、上あごから組織を採取して移植する「遊離歯肉移植術」や「結合組織移植術」といった外科的処置が行われることがあります。
知覚過敏対策・補綴治療
• フッ素塗布や知覚過敏用の歯磨き粉で症状緩和。
• 楔状欠損が大きい場合には、コンポジットレジンなどの修復処置が行われます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 歯肉退縮は自然に元に戻りますか?
A1. 自然回復はほとんど期待できませんが、進行を止めることは可能です。
Q2. 歯肉退縮があると歯が抜けやすくなりますか?
A2. 歯周病と併発することで、将来的に歯の動揺や抜歯リスクが高まります。
Q3. 強く磨かないと汚れが落ちないのでは?
A3. 正しいブラッシング方法なら、やさしい力でも十分に汚れは落ちます。
Q4. 楔状欠損は治療しないとどうなる?
A4. 痛みや知覚過敏が悪化し、欠損が深くなることがあります。
Q5. ナイトガードはどこで作れますか?
A5. 歯科医院で型取りし、自分の歯に合ったものを作るのが最も効果的です。
Q6. 子どもや若い人にも歯肉退縮は起こりますか?
A6. はい、特に矯正治療中やブラッシングが強すぎる若年層にも見られます。
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『まとめ:歯ぐきのサインに早めに気づこう』
歯肉退縮や楔状欠損は、どちらも「力」や「磨き方」の問題が大きく関わっています。
これらを放置すると、見た目の問題だけでなく、歯の寿命にまで影響を与えることがあります。
しかし、正しいケアと定期的な歯科受診により、多くは予防・改善が可能です。
「最近、歯ぐきが下がったかも?」「冷たいものがしみるな…」と感じたら、それは歯からのSOSかもしれません。
あなたの歯と歯ぐきを守る第一歩は、気づくことから。ぜひ一度、歯科医にご相談ください。
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